縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

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風にふかれながら

11月ともなるとさすがに
コートやマフラーなしでは
寒くて外を歩けなくなってきました


街には枯葉がヒラヒラ風に舞って
君に会えないこんな日々に
落ちては積もり
積もっては風にふかれて
散り散りになっています


君は今頃 どうしていますか


まわりを見渡せば
優しくしてくれる人は
いっぱいいるのに


いやむしろ
優しい人ばかりだというのに


君がここにいないということが
他のどんなことよりも
ボクをひとりぼっちにさせているのです
勝手に胸を締め付けて
勝手に苦しがってばかりいるのです


バカですか バカですね
こんなことを云ったら
君はきっと 呆れてしまうでしょうね


こんな気持ちになるのはきっと
頬を過ぎる少し冷たい風と
枯れゆくこんな季節のせいだと
思いこもうとしてはみたのですが


そんな季節特有の感傷物なんかじゃ
どうにもこうにも処理しきれそうになくて
ただこうして 雑踏に佇んで 
舞い散る落ち葉を眺めては
君の面影ばかりを探してしまうのです


ホント どうしようもないですね
自分でもわかってるんです
笑っちゃうくらい わかってるんだけど


それでもやっぱりボクは
もうずっと君に会えないなんて
信じたくないのです
信じることを止めてしまったら
本当に本当に会えなくなってしまうから
それを理解してしまえるほど
ボクは強くもなんともなれないから


抱えている淋しさも
いつかまた 君に会うために必要なものならば
ボクはもう逃げずに 目を逸らさずに
この厄介者と
ちゃんと付き合ってみようと
手をつないでみようと思います


そして 
その日が来るまでには
いまよりもう少し もう少しだけ
自分を好きになっていられるように
君にちゃんと笑顔を見せられるように
この街の乾いた風にふかれながら
負けないように
負けないように
生き続けようと思います


だから だからさ
君もその日まで
絶望せず 生きていてください
どうかどうか
生き続けていてください



どうかその日まで
元気で

どうかその日まで
ボクも 
元気で




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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

友への手紙 | コメント:0 |

しるし

そういえばあなたは 春が嫌いでしたね
春は余計に淋しくなってしまうからと
いつかぼそっとつぶやいてたのを
ぼんやり覚えています


今でもやっぱり 春は淋しいままですか


気がつけば桜も遠に散って
5月の風がやさしく頬を撫ぜてゆきます


季節は私たちの意志とはまるで関係なく
勝手に先へ先へと急いでゆきますね


私たちはいつだって
季節の間で置いてけぼりのまま

まるで誰も見つけにこないかくれんぼのように
日が暮れて心細くなって叫んでみても
こだまするのは自分の声ばかりで



生れ堕ちた瞬間に
私たちは大事な片割れを失くしてしまいました


私たちは生まれながらにして何かが欠けてしまったのです
だから淋しくって淋しくって
誰かを求めずにはいられないのです
きっとそうです
そうに違いないのです


いまごろきっと 失くしてしまった片割れが
私をあなたを探しているに違いありません



思い出したくもない思い出ばかりが増えていく
そんな人生に嫌気がさして
いっそ死んでしまいたくなる夜が
何度となく私に襲い掛かってきます

重たい足かせはいつまでも私を自由にしてはくれません



それでも それでも
もしもこの世のどこかで
私をあなたを探してくれている人がいるとしたら
それがたとえひとりよがりの気休めだとしても
そんなふうに想いを馳せるだけで
こんな生きづらい世界の果てでも
なんとか生きていけるような
生きていけそうな気がするのです
もう少し踏みとどまっていけるような
踏みとどまっていられるような気がするのです



ごったがえす人ごみの中 ひとりたたずんでいると
誰かがふと 私の名前を呼んだような気がして
ふりむくとそこはただ 風がやさしく通り過ぎる5月の街並みに
足早に通り過ぎる人々がいるだけでした



あなたはいまごろ どうしていますか
やっぱり春は 淋しいままですか



いつかあなたが探しているあなたの片割れに
出会える日が訪れますように


私が探している私の片割れに
出会える日が訪れますように


この淋しさは 私をあなたを見つけるための目印です
片割れさん 貴方が見つけやすいように
私はこの淋しさを 大事に大事に抱えて生きていきます
決して失くしたり壊したりしないように



理由もなく 涙がこぼれました
ただ理由もなく 涙がこぼれました



「もういいよ」とあと何度繰り返せば
貴方は私を 見つけに来てくださいますか




街の喧騒に紛れて かき消されてしまわないように
私は精一杯の声をあげて
「もういいよ」と云い続けることといたします



貴方の「もういいよ」の声に耳をすませて
生きていくことと、いたします



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友への手紙 | コメント:0 |

ただ、一切は過ぎてゆきます

いつの間にか ひとりで街を歩けるようになりました
いつの間にか ひとりで喫茶店に入れるようにもなりました
いつの間にか あなたの声を思い出さなくなって
いつの間にか あなたを想って泣くこともなくなりました
あなたがいない世界なんて
あのころは想像もできなかったし
あなたなしで生きるなんて考えもしなかったけれど
案外平気に生きています


きっとあなたも同じなのでしょうね
私がいなくても あなたはあなたを生きている
いいえ きっとあなたは最初から
私なんかいなくても生きていけたでしょうけど


生きるってことは
ただそれだけで大変ですね
息を吸って吐いて寝て起きて働いて
ぎゅうぎゅう詰めの電車の中
逃れられない日々に守りたい自分などどこにありましょう


ただひとつ 言葉が足りなかったばかりに
ただひとつ 言葉が余計すぎたばかりに
壊さないように壊れないように
大事に大事に守っていたものでさえ
いとも容易く 心からすべりおちてしまう
散乱した破片を泣くことさえも敵わずに
笑うことしかできないそんな自分を繕う言い訳ばかりを
探しあぐねている情けない夜
 
握りつぶせない過去にがんじがらめになって
一歩も前に進めなくなってしまう
眠れないまま迎えた朝に
いつまでもずっと馴染めないまま
時計の針だけが刻一刻と 時を刻んでいる毎日


それでも それでも私たちはきっと
私たちが思うよりもずっとずっと
強く出来ているのだということを


流した涙もついた傷も
いずれは自然に治癒していくものなのですね
朝 冷たい水で顔を洗い
身支度を整えて今日へと歩き出す
そうやって毎日は過ぎてゆき
そうやって少しずつ記憶は遠ざかってゆきます
忘れることを悲しむんじゃないと
あのころあなたはよく云っていましたね



あなたの云うように
時は悲しんでる間もなく
あとからあとから流れてゆきます
きっとそうやって人は
生きていくものなのでしょうね



元気ですか
あのころ描いていた夢は
まだ追い続けてくれているでしょうか


私はまだ
相変わらずヘタクソな詩を書いています
悲しみはいつまでたっても悲しいままですね
でも その先がちゃんとあるということを
教えてくれたのは あなただったから
それがなんなのか知りたくて私は
まだ 言葉をいじくり続けています



2月の空はピンと張り詰めたように冷たく澄んで 
白く凍えた風が どこからともなく吹きすぎてゆきます
この空を どこかであなたも見ているでしょうか
たぶん見てはいないでしょうね
いまごろはきっと くしゃみを4回していることでしょう
それは風邪ではありません
風の便りです



長々と話してしまいました
くれぐれもお体大切に


どうかお元気で



さようなら
さようなら



さようなら





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相変わらずの僕ですが

元気ですか
枯葉がにじむ 夕暮れ時
乾いた風が通り過ぎている

借りてた古いレコード
君は憶えていますか

あの頃ちょうど 家族が勝手に崩壊していって
ちょうど 好きだったアーティストも死んじゃって
生きるのもなんだかなーって
僕がボソッとつぶやいたら
なにも聞かずに ただ
これ聴いてごらんっていって
君の一番のお気に入りだったそれを
返すのいつでもいいからって
ちょっとぶっきらぼうに
照れくさそうに貸してくれたね

そこに理由なんて何もなく
なんだか君が
とってもありがたくって
グシャグシャ泣きながら
ひとり 部屋を真っ暗にして
何度も何回も聴いた

何度も何回も聴いたから
音も形も波うっちゃって
結局 君に返せなくて
何も云えないまんま
いつか遠く離れてしまった

あれから どれくらい経つのでしょう
君から借りたあのレコードは
何度かの引越しにまぎれて
どこかにしまいこんだまんま
もう 見つけることもできない


元気ですか
街のけむりにまかれて
相変わらず僕は
シュンとしています

元気ですか


こんなような日々

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