縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

蒔いた種

私はとても図太い人間なので
あなたが歩いてきた途を
平気で踏み歩いて 生きてきてしまいました


私はとても胡乱な人間なので
あなたがくれたやさしさで
平気で鼻をかんだりして 生きてきてしまいました


私はとても勝手な人間なので
うまくいかないことすべてを
あなたのせいにして 生きてきてしまいました


私はとても嘘つきな人間なので
つかなくてもいい嘘ばかりついては
人を欺いて 生きてきてしまいました


私はとても薄情な人間なので
あなたが隅でこっそり泣いているのを
なかったことのようにして 生きてきてしまいました


私はとても不器用な人間なので
いつもまっすぐに歩くことができず
ふらふらふらふら 蛇行ばかりして生きてきてしまいました


私はとても臆病な人間なので
人という人に怯えながら
そのくせ平気で傷つけながら 生きてきてしまいました


私はとても心が狭い人間なので
人の幸せを心の底から恨み
そのくせ自分より不幸な人ばかり探して 生きてきてしまいました






いま私は 失調感情障害罹患者という人間です 
人を嘲って踏んづけて欺いて 傷つけてきた代償でしょうか
あの頃私が嘲笑っていた人たちの声が 嘲笑が
毎日毎夜 まるでサイレンかなにかにように耳をつんざきます
私がこんなふうになってしまったのは 
おそらく誰のせいでもありません
すべて自分が蒔いた種なのです
自分が蒔いた種で咲いた花が いまの私なのです




私は 人生に失敗しました




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

詩でしか云えない | コメント:4 |
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