縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

石が流れて木の葉が沈む

悪事千里を走る
4千キロメートルもの距離をどうやって走っていくのかしらね
まさか自分の足でってことはないわよね
駅伝みたいに人から人へと襷リレーしながら走っていくのかしら
あるいは車でってこともありえるわね
悪事だけに盗んだ車で とか
メンタル強そうだし ちょっとやそっとじゃ折れなそうだし
どっちにしろ 悪事の底力を侮ってはいけないわね


祭りのあとの淋しさは なんていう
吉田拓郎の歌があったけれども
祭りごとはいつか必ず 終わるときが来るわ
賑わいのあとの静けさは
どこか置いてきぼりをくらったみたいな気分になるものよね
去っていくものを いつも見送るばかりで
どこにも行けないで ただ立ち尽くしているだけの
ただ待っているだけの自分
祭りごとなんてきっと 風みたいなものなのよ
吹いては体を通り抜けて どこかへ行ってしまう
淋しさを置いていくのはきっと
風もまた淋しいから
忘れないでの代わりに残した置手紙
いつか心が凪いだころ
あの風はきっとまた吹いてくる


青菜に塩かけたみたいにぐったりとうなだれているあなた
追い打ちをかけるように傷口に塩を擦り付ける人たち
頑張れって云わないで
頑張らなきゃいけないことくらい わかってるから
苦しいのはお前ひとりじゃないって
そんなこと云われたって 楽になんかなれないの
いまはそっとしておいてあげてほしいのに
いまだけは責めないであげてほしいのに
いつかもう一度 自分で立ち上がるその時まで
ただ見守っててあげてほしいだけなのに


自分の頭の上の蝿も追えないなんてっていうけど
蝿を追いかけている人を一度でも見たことがあるかしら
蝿を追いかけることよりやらなきゃならないこと
みんな沢山抱えているのよ
でも 自分のまわりでブンブン蝿が飛び回ってたら
気が散ってなにも手につかないし
あれって結構イライラしてストレス溜まるのよね
殺虫剤まいて一気に仕留めてしまいたいところだわね
私だったら


牛を馬に乗り換えるように
いいとこまわりばかりしている
よく云えば世渡り上手
悪く云えばずるがしこい
そうして大概は人に嫌われることが少ない
私が見てきた限りで云えば
の話だけれど


私がしゃべり下手なのは
奥歯に物が挟まってなかなか取れないからです
というのは真っ赤な嘘です


鬼が笑うというけれど
鬼だって笑いたいときくらいあるでしょうに
いつも金棒もって厳つい顔ばかりしていたら
ストレスたまって鬱になっちゃうでしょ
それに鬼が念仏を唱えることがあったっていいじゃない
でも考えてみればかわいそうな生き物よね 鬼って
神妙な顔をしてみせれば 何か企んでるんじゃないかと疑われ
殊勝に振る舞えば 今度は何か裏があるんじゃないかと
あらぬ疑いをかけられる
そりゃ 念仏のひとつも唱えたくなるのも
ちょっとわかるような気がしてくるわ


あばたもえくぼ 恋は盲目
たとえ付き合いだした途端に仕事を辞めてしまっても
息が詰まるほど束縛するようになっても
顔が変形するほど 肋骨にヒビが入るほど暴力をふるわれても
それさえも愛情表現であると
そのすべてを愛することができれば
きっと彼も変わってくれるはずと 最初から信じて疑うことを知らない
人をキライになるより好きになる方がいいけど
はまりすぎて自力で抜け出せなくなってしまうこともあるから
これはなかなか 侮ってはいけない感情なのかもわかりません


あさりやはまぐりはいいわ
だっていつも2つピッタリくっついて離れない
両想いのふたりなんですもの
アタシなんてひとり岩場にしがみついて
打ち寄せる波を体に浴びながら
恋しいあのお方のことばかり考えているのよ
多分あの方は アタシがひそかに慕い続けていることさえ知らない
え? 気持ちを伝えたらどうかって?
嫌われたりしたらどうするのよ
いいのよ いいの
こうしてあの方を想いつづけているだけで
一生片恋だとしても 強がりとかじゃなく
ホントにアタシ それだけで幸福なの


会うは別れの始めというけれど
こんな日がきてしまうことは 最初からわかっていました
お互い意地の張り合いみたいなことはいい加減よしに致しましょう
どれだけ同じ時間を過ごしても
どれだけ言葉を尽くして語り合っても
結局解ったことと云えば
あなたは私を 私はあなたを
なにひとつ理解できなかったということだけでした
お別れいたしましょう
悲しいことなど何もありません
だってこれは必然的なことなのですから
あなたのメモリはすべて
今日を限りに削除いたします
これですべて終わりにできます


さようなら
さようなら


元気でねなんて云わないわ





テーマ:詩・ことば - ジャンル:小説・文学

新釈ことわざ辞典 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<ぽたぽた焼き | ホーム | 雉も鳴かずば撃たれまい>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |