縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

相変わらずの僕ですが

元気ですか
枯葉がにじむ 夕暮れ時
乾いた風が通り過ぎている

借りてた古いレコード
君は憶えていますか

あの頃ちょうど 家族が勝手に崩壊していって
ちょうど 好きだったアーティストも死んじゃって
生きるのもなんだかなーって
僕がボソッとつぶやいたら
なにも聞かずに ただ
これ聴いてごらんっていって
君の一番のお気に入りだったそれを
返すのいつでもいいからって
ちょっとぶっきらぼうに
照れくさそうに貸してくれたね

そこに理由なんて何もなく
なんだか君が
とってもありがたくって
グシャグシャ泣きながら
ひとり 部屋を真っ暗にして
何度も何回も聴いた

何度も何回も聴いたから
音も形も波うっちゃって
結局 君に返せなくて
何も云えないまんま
いつか遠く離れてしまった

あれから どれくらい経つのでしょう
君から借りたあのレコードは
何度かの引越しにまぎれて
どこかにしまいこんだまんま
もう 見つけることもできない


元気ですか
街のけむりにまかれて
相変わらず僕は
シュンとしています

元気ですか


こんなような日々

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