縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

レイン レイン レイン

雨の日って好きなのよね
だって何もしなくったって許してもらえるじゃない
こんなに眠くて仕方がないのだって
こんなに憂鬱でたまらないのだって
みんなみんな この雨のせいに出来るじゃない


雨音がちょうどいい音色で
あたしの耳に届くころ
忘れていたあの人の名を思い出す
あの人いまごろどうしているのやら
元気でやっているかしら
生きることに疲れてやしないかしら
忘れられない過去に 縛り付けられちゃいないかしら
あたしのことは きっともう忘れてしまっているわね
いやね いやねあたし
なんだかセンチな気分になってきちゃったわ
ジャスミンティでも入れるとしましょうか


ドライブには古い映画のDVD
トーキーよりもサイレント
こんな雨の日にはお似合いでしょ
おどけたふりしてチャーリーが
きっとあたしを笑わせてくれる
そう涙流れるくらいバカみたいに


晴れた日は苦手なの
太陽はすべてをさらけ出せと要求する
青い空は健全すぎるから
あたしの汚い部分を否応なく思い知らされる
そんなに責めなくたっていいじゃない
そんなに怒らなくたっていいじゃない
思い出したくないことだってあるのよ
ひっぱりだしたくない記憶だってあるのよ
太陽に愛されたひまわりも
あたしには怖くてたまらない


窓を濡らして落ちていく雨粒は
頬をつたう涙にも似て


だからあたしは雨の日が好き
こんなどうしようもない感情だって
雨音がすべてかき消してくれる
滲んで曇った窓ガラスには
悲しみの輪郭さえぼやけてみえる



なんだかうとうとしてきちゃったわ
雨音に耳を傾けて
このまま眠り堕ちてしまいましょうか
昨夜見た夢が 醒めてしまう前に
降り続く雨が 空ごと逃げてしまう前に





テーマ: - ジャンル:小説・文学

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