縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

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愛を売ってくれませんか ・ 幸福はいくらで買えますか

何もかも忘れられたら どんなにいいでしょう
何も見たくないから目を閉じたのに 
いつも決まって現れるあの忌まわしい記憶映像
何も聞きたくないから耳を塞いだのに
決まって聞こえてくる 冷たい刺すような言葉
仕方がないから目を開けます
仕方がないから耳を塞いだ手をどけます
醜い争いばかりが見えてしまう
口汚い罵り合いばかり 聞こえてしまう
もうやめようよって 何度も止めようとするんだけど
言葉が喉にひっからまって 
うまく声を出すことさえままならないのです


こんなわたしを 笑い飛ばしてはくれませんか
あんまり情けなさすぎて かえって笑えないですか



子供のころから 強い子だと云われてきました
何故そんなことを云われるのか 
その頃のわたしは まったく理由がわかりませんでした
それはたしかに あまり泣かない子供でしたし
親に手を焼かせたという記憶も ほとんどありませんし
自分のことはあまり話さない子供でもありました
弱音なんて滅多に吐いたこともなければ
自分から何かを要求したことすらありませんでした
強い子 我慢の子
いまならその理由が少し解ります
そんなふうに云われてしまったら 吐きたい弱音も吐けないですものね
どんなに辛くても悲しくても 簡単に泣いたりなんてできないですものね
もっとも 何か話そうとしても いつもそっぽを向かれていましたから
聞いてもらえないものを云ってもしょうがないと
子供のくせして 妙に悟りきったところが わたしにはありましたから
もっと子供らしく振る舞えていたなら
もっと無邪気に わがままを云うことができていたなら
もしかしたら 違う人生が
あるいはわたしにもあったかもしれませんが
果たしてそれは わたしにも解りかねる問題のようです


隣に住んでたマーちゃんは 日曜日たびにどこかへ出かけては
新しい洋服を買ってもらって
よく一緒に遊んでたよーちゃんは
リカちゃんもジェニーちゃんもバービーも みんな持っていて
一番仲良しだったケーちゃんは 地主の子で大きな家に住んでいて
驚いたことには 家族みんなで食卓を囲んでたことでした
うちじゃ 毎日ほとんどひとりで食べさせられていたから
なんだかとても不思議な空間に迷い込んだような そんな気分でした


うらやましいなんて これっぽっちも思いませんでした
そんな服 ちっともかわいくないし
背が伸びたら もう着れなくなっちゃうのにもったいない
そんなにたくさん人形持っててどうするの
こないだまで遊んでたのはどうしたの
もう遊んであげないなんてかわいそうじゃないの
家の者が全員で食卓を囲んだら どんなことになるか
それだったら ひとりで食べた方が全然まし
うらやましくなんか そうよ 全然うらやましくなんかない
なんかない なんかない
なんか なんか なんか


ホントは 本当は
うらやましくて仕方がなかった
いつもお下がりの 可愛くもなんともない
男の子みたいな服を着せられてるわたしと
毎週のようにきれいな服で登校していくマーちゃん
おもちゃはおろか ハサミもクレヨンも本もなにもかも
与えてもらえなかったわたしと
遊びにいくたびに人形が増えているヨーちゃんと
人形なんて興味ないふりしてたけど 本当は欲しくて欲しくてたまらなかった
大きなお家に住んで 自分の部屋もあって 家族そろって食卓を囲み
なんの屈託もなく あたりまえのようにハンバーグを食べてたケーちゃん
わたしにはないものばっかり 
うらやましくて うらやましくって 一周廻ってもやっぱりうらやましくって
だから早く大人になりたかった 
早くお金を稼ぐようになりたかった
自分の稼いだお金で欲しい物を買うのはどれだけ気持ちのいいことだろう
そんな空想ばかりが どんどん膨らんでいきました


大人になったら なんだって出来ると思っていたのに
かわいい服だって靴だって 好きな音楽だって本だってなんだって手に入るのに
本当に欲しいものは どうしたって手に入らないようにできているみたいです


街中の胡散臭い露天商が売り込む 「ちょいとお姉さん、おひとつ愛はいかが?」
「こっちにはほくほくのしあわせもあるよ」
プラスチックのおもちゃみたいな イミテーションのそれらが
大きな布の上に 雑然と並べられています
「今なら安くしとくよ」
偽物だってかまわない どうせ本物がどれかなんてわかりっこないんだから
それでこの淋しさが虚しさが たとえ一時でも消えてくれるのならば


「あるだけ全部いただくわ、お兄さん」



「ところでお兄さん、お代はいくら?」












☆:5/27 後半部分を改稿

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

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