縫いとじられない赤い糸

小奇麗な言葉で曖昧にごまかすのにはほとほと疲れてしまったから。そろそろ本当の話を始めませんか。身もふたもない、本当の話を。

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君がそこにいる限り、僕は死なない。
悲しがる君をもう、ひとりになんかさせない。
だから泣かないでくれ。ひとりで苦しまないでくれ。


僕をこんな気持ちにさせてくれたのは君なんだ。
ひとりでいることに馴れてしまっていた僕は、
いつしか生きることに完全に疲れ切ってしまっていた。
極度の人間不信で、人がキライで、自分がキライで。
誰かのためになにかしたいなんて思ったこともないし、
どうせみんな、僕みたいなのに何かされたって
迷惑なだけだとずっと思ってたんだ。
何もかも嫌になって、街中をフラフラふらついて、
このまま、行き交う車の中に飛び込んでしまおうかってそう思った瞬間、
君のことが目に入ったんだ。
小さな花屋で働く君。絶えず笑顔でけなげに働く君が、
僕にはとても眩しく映ったんだ。
きっとこの娘はとても幸福なんだな、そう思った。
僕とは全然違うところで生きてる人なんだと。


なのに、どうしてかな。君のことが頭から離れないんだ。
あのけなげそうな笑顔が瞼の裏に焼き付いて離れないんだ。
僕はあの娘に恋をしてしまったのだ。この僕が。
極度の人間不信で、人がキライで、なにより自分が大キライなこの僕が。
似合わねえよ、そんなの。第一、あんないい娘と自分とじゃつり合いがとれないよ。
打ち消そうとすればするほど、君への思いは強くなるばかりだった。
僕は、君に会いたくて、毎日のようにその花屋へ通った。
何も買わないのは怪しいので、毎回1輪の花を買い求めた。
毎日通ううち、君とも少しずつ話をするようになって、
他愛もない話に君はよく笑ってくれた。


あの日、あの雨の日、はじめて君の涙を見た。
頑なに唇かみしめていた君が、ずぶ濡れになって泣いていた。
理由を聞いてみると君は
「生きているのが、とてもつらい」そう云って小さな肩を震わせていた。
僕はなんだかよくわからないけど、君を強く抱きしめたい衝動に駆られた。
この人はいま、ひとりぼっちなんだ。ひとりぼっちで苦しんでいるんだ。
誰かがそばにいてあげなければ、きっとこの娘は壊れてしまう。
生まれて初めて心底熱い想いが、僕の躰をよぎった。
探していた答えを教えてくれた君にしてあげられること、
それはただ、君の悲しみがたとえ消えなくても、せめて薄まってゆくまで
そばにいてあげたいと思った。そばにいることくらいしかできないけど、それでも
一緒にいたいと思ったんだ。


もしも君が生きることに疲れているのなら、僕がオアシスになろう。
君が淋しいのなら、僕は一晩中夢の話を聞かせてあげる。
確かに今、僕らが存在する証がここにある。
だからもう泣かないで。ひとりで苦しまないで。
そこに君がいる限り、僕は死なないから。





テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

| コメント:2 |
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コメント

人は分らないものですね
誰でも、どこかに悩みがあるのかもしれません。
幸せそうに見える人でも
何かを抱えて生きてる

悲しい話が多かったけど
この話はハッピーエンドになりそうですね
うれしいです。
2015-07-17 Fri 19:01 | URL | 七瀬 [ 編集 ]
いつもコメント、ありがとうです^^

悩みのない人なんているのでしょうか
多分、口には出さないだけで
みんな何かしら抱えて生きてるんだと思います

このところ、ラストが「死ぬ」パターンが多かったので
僕みたいに、そんなふうに思える人がいるだけで
幸福なことですよね

ありがとうございました
2015-07-18 Sat 15:52 | URL | 陽炎 [ 編集 ]

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